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ベントオーバーロウについての考察

先日のブログでも、フリーウェイトトレーニングを始めるにあたってハムストリング(腿裏の筋肉)の柔軟性や筋力は必要不可欠で、そこをしっかり鍛える事ができる種目であるRDLは最初に習得したほうがいい種目の一つ、という内容のものを書きました。

ウェイトトレーニングを始めるにあたって、ことフリーウェイトの場合には目的によってやり方は様々ですが、習得するトレーニングの順番を考えたほうが良いときもあります。
RDLのように最初に習得したほうが良い種目もあれば、難易度が高く最初からプログラムに入れないほうが良い種目もあるというわけです。

Bent over Row(ベントオーバーロウ)
この種目も基本的には最初からはプログラムに入ってこない種目の一つです。(私の場合は)
今回は、なぜこのベントオーバーロウという種目がRDLのように最初に習得する種目と違い初期のプログラムには入ってこないかも含めながら掘り下げていこうと思います。

まず始めにベントオーバーロウは以下の動画のような種目で、主に背中の筋肉を鍛えるときに取り入れます。



しかし、この種目のクセが強い部分として、上半身である背中を主に鍛える種目でありながらも下半身の筋肉もかなり動員されるという点があります。
他にも背中を鍛える種目はたくさんありますが、ベントオーバーロウほど下半身が重要になってくる種目はあまりないのではないかと思います。
そう考えると、背中を主に鍛える種目でありながら下半身も軽視出来ないという点がこの種目を掘り下げていく上で一つのキーポイントになりそうです。

ベントオーバーロウを実施する上で度々議論となっているのは、
上半身をどの程度前傾させるか?
ではないでしょうか。

上半身の前傾の角度を細かく設定することで、少しづつ背中に入る刺激を調整しながら実施している方も多いでしょうし、腰にかかる負荷を軽くする為にも上半身をあまり前傾させずに実施する方も多いかと思いますが、私の場合は上の動画を見ていただければわかると思いますがガッツリ上半身を前傾させます。

その理由は、
下半身の柔軟性や筋力を最大限に活用したいから
です。

先程も書いたように、ベントオーバーロウの特徴として
背中を鍛える種目でありながらも下半身の筋肉もかなり動員されます。
だったら、思いっきり下半身も使いたいということです。
そうでなければ別にベントオーバーロウにしなくてもいいのでなないかなという考え方ですね。

ここで言う下半身の筋肉とは、ハムストリング(腿裏の筋肉)と大臀筋を主とするお尻の筋肉です。
それらの筋肉をガッツリ使うのであれば上半身を床と平行になるくらいまでを基準にしながらしっかり前傾させます。
そうすることで、腿裏やお尻の筋肉がエキセントリックの状態になりしっかり土台を固めてくれます。
その土台をしっかり築いた上でバーをしっかり引くというのが、ベントオーバーロウのやり方の一つです。

ではなぜこの種目が初期のプログラムには基本的にはいってこないのでしょうか?
それも答えはもう出ています。
トレーニング初心者の方のほとんどは土台を築けないからです。
つまり、上半身を十分に前傾させるだけの腿裏の柔軟性がなかったり、柔軟性だけはあったとしても前傾した状態をキープさせるだけの下半身や腰の筋力がない場合がほとんどです。

だからこそ、RDLを先に習得したほうがここでも役に立ちます。
RDLは一回一回直立の姿勢に戻れますが、ベントオーバーロウは戻れません。
もちろんRDLよりもベントオーバーロウは若干膝をゆるめても良いですし、足幅も違いますが、RDLである程度の可動域を確保してある程度の重量を扱えなければ上の動画のようなベントオーバーロウも実施することはできません。
無理矢理ベントオーバーロウをやってみたところで以下のような結果になります。

・腰がグニャッとなる⇒腰椎の損傷リスク↑
・上半身の前傾が浅い⇒下半身を最大限に使うという目的から外れる、シュラッグに近いバーの軌道になり背中を鍛えるという目的からも外れる
・膝が出過ぎる⇒膝が邪魔で適切なバーの軌道がつくれない、膝への負担↑

ですので、プログラムの最初からベントオーバーロウをいれるよりかは、
最初はRDLを習得しながらも背中の種目は難易度のおちる簡単な種目をいれたほうがスムーズに進むでしょうし、腰を痛めたりするリスクも少なくなると考えられます。
逆にRDLなどの種目をしっかり習得してからのベントオーバーロウは驚く程すんなり出来るようになります。
ベントオーバーロウはしっかり出来るようになれば高重量も扱える種目ですし、下半身にも刺激を与えられるという特徴はプログラム作成の上でも重要なオプションの一つにもなるはずです。


以上のような理由から、私の場合はベントオーバーロウは最初からプログラムに入れる事は基本的にありません。
そして、その理由として重要なポイントが下半身が大きく関わってくるからというところを踏まえて今回はベントオーバーロウという少しクセの強い種目を掘り下げてみましたが、これも考え方の一つで絶対というわけではありません。
目的が変われば上半身の前傾具合も変わるでしょうし、考え方自体も変わると思いますので考え方の一つとして捉えていただければと思います。
しかし、腰ばかりがフォーカスされがちな種目ですが、下半身にフォーカスする事で別の見方も出来ますよね。
ベントオーバーロウで腰がどーのこーのなるうちは時期尚早ということです。


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ラグビーのSH田中史朗選手や流大選手の体重や身長がほぼ私と同じくらいなんですが、その体格であの舞台に立ってプレーしているのを考えると本当にすごいです。
なんかよくわかりませんが、頑張ろうと思います....







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