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科学を正しく判断する為に。

伊藤公一朗著
「データ分析の力 因果関係に迫る思考法」


こちらの本は少し前に、尊敬する同業者の1人でもある河森さんがお薦めしていたもので、自分にとっても確実に必要な部分だと思い今回読んでみました。
(ちなみに河森さんのブログはコチラ。とても勉強になります...)

人間の身体やトレーニングに関わる事も様々な研究者が日々実験を重ね、それで明らかになった事を私たちのような現場で働く指導者が活用しています。
研究者が発表したトレーニングに関する学術論文であれば、なんとなく信憑性があり何でもすぐに信頼し鵜呑みにしてしまいそうにもなりますが、実際はそういうわけにもいきません。

発表された論文に対して、どういう研究デザインで実施され、どういう分析方法で結果が導き出されたのかで信憑性はかなりかわってきます。
私たちのような現場で働く職業の者にとっては、様々な研究結果が示されている論文に対して正しい判断をするための能力が求められます。
本書にはその能力を身につけるために必要な基礎知識がわかりやすく書かれています。

相関関係と因果関係の違いから、 因果関係を正しく分析する事の難しさ、その中でRCT(ランダム化比較試験)の重要性、そして、その欠点や限界についても書かれています。

そういった基礎知識がなければ、研究結果に対して正しい判断ができません。

トレーニング指導者として、
科学を活用しないのは罪ですが、
科学を鵜呑みにしたり、間違った判断をするのも同じく罪です。

そうならないように、日々勉強な訳ですが、
個人的には本書のRCTの欠点や限界についても書かれているところがとても勉強になりました。
正直、これまでは分析方法がRCTであればそれだけで安心してしまっていたところがありましたが、そこに対しても気をつける必要があるなと感じる事が出来ました。

物事において、それだけで完璧というものはないはずです。
トレーニングに対してもそうで、トレーニング指導者はトレーニングの良さをしっかり伝えることができるのは当たり前ですが、それだけではなく、トレーニングをすることで考えられるマイナス効果や気をつけなければいけない点、欠点や限界も同じくしっかり把握し伝える事が出来るようにしておかなければいけません。
それこそがプロフェッショナルであると思っていますし、それができなければ暗黒面に落ちてしまいます。
フォースの強さも知りながら、フォースの怖さもしらないといけませんよね...

たまにトレーニングにおいてもトンデモ理論を口にしてしまっているような人も見かけますが、そういう人たちは欠点や限界を誤って認識しているがためにそのような事態に陥っている事が考えられます。
そういったネガティブな面を間違って認識している場合、ポジティブな面の認識すらも怪しく、かなり飛躍してしまうかもしれないですよね...
完全に暗黒面におちています。
物事のいい点ばかりではなく、考えられるマイナス面もしっかり伝えられるスキルをもち、一方向からだけではなく総合的に物事をみて判断できる指導者でありたいと思っています。

本書を読む事で、そのへんも改めて整理する事が出来て良かったです。
どの職業もそうであるように、この職業も本当に勉強する事が多いです。


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最近、サウナって流行っていますよね。
同じところにじっとしているのが苦手なので大して興味もありませんでしたが、先日サウナ好きの友人と一緒に行ってきました。
サウナと水風呂を三往復......最高でした。笑
ただ、世のおじさん達はもうちょい運動したほうが良いのではないかな...





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