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トレーニングも不合理と合理の狭間で

ダン・アリエリー著
「不合理だからうまくいく」


この本はSNS上で私は知りましたが、行動経済学研究の第一人者であるダン・アリエリーのシリーズは有名みたいで知っている方も多いのではないかと思います。
今回はこの本を読んで私が感じた事をトレーニング関係に偏った目線で書きます。

まず、行動経済学というものは本にも書いてありますが、
人間の弱さを理解したうえで、長期的な目標を達成する手助けをする方法を見つけようという学問です。らしいです。。

全ての人間が、合理的な考え方のもと合理的な行動をとることができればいいのかもしれませんが、そんなことは残念ながらありえないんですよね。
フィットネスクラブの継続率の低さ、さらにはトレーニング単体で見たときの継続率の低さをみてもそのことがわかるのではないでしょうか?
誰しもが、トレーニングや運動が健康に良いからと理解していたとしても、すぐに行動に起こせるかどうかは別ですよね。

もし、全ての人間がそのような合理的な判断ができ、ラグビー日本代表のように長期的な目標の為に短期的な犠牲を払える(トレーニングで言えば、長期的な目標:健康や目指している体型や体重等。短期的な犠牲:疲労や筋肉痛などの苦痛、そのための時間やお金の確保等)
ような人ばかりであれば、私のやっている職業もどんなに楽になるか。笑

そして、仮に人間がそのような特性をもったひとばかりであれば、現在のフィットネスクラブやパーソナルトレーニングのあり方や料金システムなどはガラッと変わるはずです。
現在多く見られるような短期集中型(先行逃げ切り型?)の料金システムは合理的ではない人間行動に対応してものであるはずです。
だからこそ、リバウンドやトレーニングというものが習慣になったり文化になかなかなりづらいという課題も出てきているのだと個人的には思いますが...

この本はいろんな角度で、人間が実際にどう振る舞うかを観察していいます。
そして、実際に研究し、様々な文献をもとに書いてありますので腑に落ちます。
つまりダン・アリエリーの一個人の意見ではないですし、どういう研究を実施したかも書いてありますのでとても興味深く面白いです。
かと言って堅苦しい内容の本ではなく、とてもユーモア溢れる表現があちこちでみられるので読みやすさ・わかりやすさも抜群でした。

行動経済学というものを活用する事で、私のようなトレーニングを教える側にとっても、教わる側にとってもたくさん得るものがあるなと感じます。
トレーニングというものは基本的に効率的に進める必要があります。
限られた時間、器材などの状況の中でクライアントの目的に対して効果を出していかなけれいけません。
そして、これまで他のブログでも書いてきた通り、トレーニングはとてもシステマチックなものでありテキトーなことをしていてもトレーニングでポジティブな変化を起こす事は難しく、下手をするとケガをしたりとネガティブな方向にいってしまってもおかしくありません。
しかしながら、さっきも書いたように人間は多くの場合、合理性だけでは通用しません。
ガチガチのゴリゴリのトレーニングプログラム、プランで尚且つロボットのような感情の失った人間味のない指導者のもとではトレーニングを教わりたいという人は少ないでしょう。そしてトレーニングを続けることも難しいでしょう。

つまり、やはりトレーニングに関しても合理的な部分もありながら、不合理性もうまく混ぜ合わせる事で何倍もトレーニングを受けたくなる人が増え、何倍もトレーニングを続けていける人がいるはずなんです。

最近増えているエニタイムフィットネスに代表される24Hジムは合理性の固まりのようなジムだと思います。

・24Hずっとやっているのでいつでもいける。
・トレーニングのみにしぼる事で、人件費削減
・トレーニングにしぼっているので大手よりも充実したトレーニングスペース
・人件費かけない分、月会費が安い
・店舗をどんどん増やし、場所を選ばなくていい
など。
これらをみるとトレーニングがしたい人(スタジオレッスンやプールを使いたい人は別)にとっては願ったり叶ったりというジムのように思えます。
なので、私自身もお客さんが自主トレする場所としてはエニタイムフィットネスのような24Hジムを進める事が多いです。

しかし、先日あるお客さんから聞いた意見で、やっぱり合理性が全てではないんだなと思いました。
そのお客さんが言うには、そういうジムではトレーニングする気が起きないそうです。トレーニングする雰囲気ではないらしいです。
そう思う理由までは、その方は説明できませんでしたが、私の予想ではこうです。
・スタッフに用はなくても、ずっと複数のスタッフがいる
・例え参加していなくても音楽ガンガン流れているスタジオでエアロビをやっている人たちもいる
・結果、何か賑わっている
というようなトレーニングするためには不合理で一見必要なさそうなものが、その方にとってはトレーニングをやるにあたってのスイッチになっており、その雰囲気がトレーニングする気にもっていってくれるのではないかと。

そして、こういう方は決して少なくないのではないかと思っています。
一方で、トレーニングをしっかりしたい人にとっては、そのような一見必要なさそうなものは本当に必要ないと感じている方も多く、そういう方にとっては合理性に富んだエニタイムフィットネスがフィットしているのでしょう。
じゃないと昨今のこのようなスタイルのジムの店舗数の増加は説明がつきません。

どちらにしても、そういう不合理な部分の価値に気がつかずにその方にエニタイムフィットネスのようなジムを合理性の目線でのみガンガン薦めてしまっていれば、その方は自分でトレーニングを長く続けることができなかったことも考えられます。

不合理だからうまくいく
ということがそれぞれにあるはずです。
自分の中の合理的な部分と不合理的な部分を知る事で、続かなかったものが続くようになったり、短期的な犠牲を払えるようになるのかもしれません。
自分は意思が弱くてダメなやつ。
ではなく、その不合理な部分を理解し対策を立てる事が大事です。

なぜ大手フィットネスクラブでのトレーニングが効果が出づらかったり、続きにくかったりするのかに対する自分の考えは持っていましたが、それはあくまでも自分の経験だけをもとにして導き出したものでした。
しかし、この本を読む事で、経験だけではなくより明確な答えに近づいたように思えます。



ちょっと何言ってんのかわかんねぇって方は是非、「不合理だからうまくいく」を読んでみて下さい。
何か行動を変えるヒントを得られるかもしれません。

ちょっと自分でも何書いてんのかわかんなくなりそうですのでこの辺にしておきます。笑


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ちなみに私自身は合理的に考える事が多いほうだと自分で思っているのですが、それだけに上手くいっていないなという部分もあるなと感じています。笑
バランスって大事ですね...






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