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根性vs科学

近年少しずつですがスポーツサイエンスというものが世の中に浸透しつつあるなと実感します。
野球でいう投球制限やサッカーやラグビーなど様々なスポーツでの心拍計測等のウエアラブル端末の使用、テクノロジーの発達
など、科学的なデータをもとに根拠をしっかり示したうえでの練習やトレーニングそして試合が行われ、危険を排除しながら最高のパフォーマンスを目指せるようになってきています。

最近では高校野球で佐々木投手が決勝で投げなかった事に対する賛否が分かれていますが、SCコーチやAT(アスレチックトレーナー)といった身体の専門家の中では投げさせなかったという判断は英断だったという人が多い印象です。
私自身も、この件に関して深いところまで把握しているわけではありませんが、同じように感じていいます。
もちろん、多くの人が思うように決勝でも投げてもらって甲子園でも見たかったなという気持ちもありますが...
それはただの自分のエゴですよね。

プロの世界だけではなく、部活動の現場でもただの根性だけではなく科学的な背景をベースにした練習方法やトレーニング等を取り入れていく事は当然必要です。
これまでは指導者の「経験」だけを元にした
・必要以上の走り込み
・休みがない
・長時間練習
などの根性至上主義が多かったとと思いますが、近年少しずつ科学が入り込み、まだまだ完全ではないにしてもこれまでの「経験」だけを元にした根性論を見直すような議論がされるようになってきている事は確かです。

これから先、プロであれアマチュアであれ重要な事は根性論ベースで成り立っているチームに対して科学的なサポートが介入したチームが結果で勝ちきる事が求められてくるはずです。
そうでなければ、結局根性論が正当化されてしまうこともあり得ます。

そして、私の個人的な感覚ですがこれはそれほど簡単なことではないように思えます。
特に高校生等などの学生においては根性論ベースで成り立っている、なかば洗脳に近いような状態にいるチームはかなり強い印象です。
それが例え、多くの危険性をはらんでおり、長続きしないとしても現時点においてはかなり手強い可能性が高い。
そういうチームに対して勝ちきるのは簡単ではありません。
だからこそ、スポーツサイエンスはもっといろんなことを解明していく必要があるし、それを現場に落とし込む指導者も知識や技術を磨く必要があるはずです。
「経験」だけではなく、しっかり根拠を示した上で適材適所での「経験」も活かす事で選手たちを危険から防ぎ、ベストなパフォーマンスを発揮してもらう。
そして、勝利に繋げる。

実際、今現在どれくらい根性論ベースで成り立っている環境があるかはわかりませんが、スポーツサイエンスが繁栄し、それを現場に落とし込む指導者が職務を全うしなければ、危ない環境にいる選手たちを守ることは難しいかもしれません。

根拠のない自信を上回る根拠のある自信をつけさせる為には、膨大な知識や技術、そしてそこからくる説得力が必要なはず。
何を言いたいかというと、もっと勉強だな....
ということです。

今回の大船渡高校野球部の監督のように指導者には難しい判断を求められることがあります。
そんなとき、自信をもって判断出来るように日頃から準備しておくことが大事だなと改めて思いました。

そして、勘違いしてはいけないことは、科学的な介入は決して選手にとって楽ではないということ。
根性も正しく使えという事ですね。
時としてただがむしゃらに動くよりも考えながら動くほうがよっぽど根気の強さが求められたりもしますからね。

私自身、高校でもトレーニングを教えていますが選手ファーストという考えを前提におきながらもまだまだ色んな面で未熟な選手(生徒)たちを時には根拠のある説得力をもってしっかり引っ張っていきたいと思います。

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今回の大船渡高校の件ですが、監督の判断もさることながら、それに従った佐々木投手も本当に素晴らしいと思います。
普通飲み込めないですよ...
佐々木投手の今後の活躍を心から願っています。










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